ビジネス

ネジ屋はでんき屋になれ!

EVづくりでわかった
中小企業でも狙えるフェラーリ的ビジネス

ネジ屋はでんき屋になれ!


■著者  恵庭 饗

発売日:2012年6月29日
定 価:1,238円+消費税
四六版並製
ISBN978-4-87045-253-4

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EVづくりレポート
僕らにもできる コンバートEV
東京板橋区の自動車整備業者有志によって結成された「板橋EVクラブ」が、スズキエブリィからエンジンをおろしてEVへコンバートしていく工程と、ナンバープレートを取得して公道を走るまで、そしてその後のテスト報告をレポートした「僕らにもできる コンバートEV」もご覧ください。
LinkIcon「僕らにもできる コンバートEV」はコチラ

好評発売中!

電気自動車は、超巨大ビジネス市場
これでEVビジネスのヒントをつかめ!

国内自動車産業従事者501万人超が驚愕する自動車革命時代がついに来た!

2012年は、いよいよ本格的電気自動車時代を迎える。そしてEVは必ず超巨大ビジネス市場になる。

誰がこの波に取り残され、誰がこの新たな市場で食べていけるのか。また、EVはテスラモータースのような新しい日本の自動車メーカーを生み出せるのか。

本書は、この21世紀初頭、最後の巨大市場で活躍するためのビジネスヒント満載のビジネス指南書である。

●EVでバブルは引き起こせるか?
●EVづくりをしてわかったビジネスヒント
●変化する自動車市場とドライバー
●EVにおいて、このビジネス提案は使える

「はじめに」より

もう自動車についての原稿を書くことはないと思っていた。

その理由は、自動車はグローバルの視点では成長産業だが、国内は補助金頼りの斜陽産業である現実からだ。その思いを裏づけるものとして、文化あるいはエンターテイメントとして自動車を伝えてきた自動車雑誌をはじめとする関連メディアが、目を覆いたくなるほど部数減少している惨状にある。自動車関連アフターパーツ市場の縮小や衰退からも、この業界に未来の光を感じることができなくなっていた。

かつてボクは数々の自動車雑誌や動画をプロデュースし、編集と執筆をしてきた。が、その制作意欲は市場縮小とともに薄れ、同時に寄稿する媒体を失っていった。


ボクはペンネームを変えた。書き手として自動車という最大の得意分野と決別するためだった。

しかしリーマンショックという百年に一度といわしめた出来事からその事情は変わった。通常、このようなリセッションが起きると経済は衰退もしくは停滞し、自社の生き残りをかけた保身に舵を切る。もちろん、自動車メーカーもそれを行なわなかったわけではない。しかし自動車産業全体では、次世代自動車開発に舵を切ることを加速させ、さらなる資金を投入していったのだ。

「戦略的陳腐化」を源泉に成長してきた自動車業界が、最大の宝としてきた「エンジン」という動力装置を、みずからの手で陳腐化させはじめる。ボクはここに強いイノベーションを感じた。それはまさに本物の生き残り戦争、いうならば「自動車革命」へ突入したことを意味していたのだ。トヨタ、ホンダによるハイブリッドカー競争で幕を開けた脱化石燃料化への道は、さらなる進化の競争をはじめていく。ボクはここにもの凄い好奇心が湧いたのだ。

2011年は震災、欧州危機、円高、タイの洪水被害と世界経済への影響が懸念される事象が重なるように起きた。そしてこの背景が国内の自動車産業界をさらなる空洞化へと導く。国内景気が依然として底上げできないこともあり、他の業界に比べて補助金などの手厚い支援はあるものの、自動車業界はこのところの環境はよくない。

そのなかで唯一、明るさを見せたのが2011年の東京モーターショーであった。このモーターショーの来場者数は単に千葉幕張から東京へ会場が移ったからだけでは、その増加を説明することはできない。それは自動車に新しい魅力が感じられた、あるいは「そろそろクルマでも」と考える人たちのバイオリズムが一致したという背景抜きには語れないほどの活況さがあった。

そしてこのモーターショーで自動車メーカーは、次世代自動車で変わるということを力強く提案していた。それは電気自動車という結論とボクは受け止めた。メーカーはEVに軸足を置くと宣言したように感じたのだ。

次世代自動車は2002年、トヨタとホンダが政府に提案納入した燃料電池車がその幕開けである。しかしこの2社が燃料電池の型式認定を取得するや、これを主軸とした次世代自動車の開発への投資を増額しなかった。

世界中の自動車メーカーがその間、そしてその後も燃料電池車をはじめ、バイオエタノール、クリーンディーゼルそしてハイブリッドと次世代の燃料と動力を模索した。が、開発費、社会インフラ、提供価格の視点から、エンジンを抜きにした主軸となる動力の提案には至らなかった。結局は既存の技術をさらに磨く手法が選択され、一部の国を除いてクリーンディーゼルとハイブリッド、超省燃費ガソリンエンジンの提案が現実的と判断された。

日本ではエコカーの代名詞はハイブリッドカーであろう。が、ハイブリッドカーもエンジン車の延長線上にしかなく、プラグインハイブリッドカーもシボレーボルトもエンジンつき電気自動車でエンジン抜きには語れない。

世界が求めている次世代自動車は、エネルギーから見直した新しい提案であることが美しい。その近道こそ、ゼロエミッションである電気自動車ではないだろうか。

ボクはすでに「EVには流れを変える力がある」ことをよく理解してしまった。そのEVの魅力を最初に教えてくれたのは、自動車評論家で日本EVクラブ代表の舘内端氏だ。そしてまだまだ未熟なEVをもっと知ろうと、コンバートEV製作にまで参加してみた。

「なぜEVなのか」

この答えをボクは「すべてにおいて端的に表わすことができる提案だから」と解釈している。エコロジーとエコノミーの両立は幻想ではないことを証明する画期的要素を含んでいることが大きい。これについては本書のなかで詳しく述べさせてもらう。


本書のタイトルは次世代自動車がEVと位置づけるならば、自動車産業界では電気が介在しないメカだけのものづくりでは食えないことを表現した。ネジ(メカ)は機械ものには欠かせないが、もう誰でも提案できるものとなってしまったコモディティ部品である。あるいはネジ(メカ)はEVづくりには将来、必要とされないものになる可能性がある。

EVは既得権を間違いなく崩壊させる。必要とする部品が従来の自動車づくりに比べて圧倒的に少ないし、EVの現状のウィークポイントは、ネジ屋の発想ではそれを克服するに至らないと考えられる。

本書では、この自動車革命のなかでも生き抜ける発想のヒントを記してみた。それらが事業として、社会への提案として成り立つかはわからない。が、止まっていては時代の変化に流されてしまうだけである。ダーウィンの進化論でいう「環境の変化に順応する生き残り」のきっかけをつかんでいただければと思う。自動車関連事業をあえて辛口ながらも、応援したいとの考えからである。

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